新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関連して現在分かっていることと一人一人ができる対策:第十報告(特定症状6つのタイプと重症度)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関連して現在分かっていることと一人一人ができる対策:第十報告(特定症状6つのタイプと重症度)
日頃の診療や電話相談中にほぼ毎日患者さんから受けるCOVID-19関連の質問に沿って、皆さんに正確にお伝えしたい情報について、最前線の臨床医の一人として、今後しばらく院長ブログのシリーズでお伝えしたいと思います。
質問10 :新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ではさまざまな症状がみられますが、どんな症状がでるかによって、その後の経過や重症度などと関係しますか?
解答の1例 :以下のような医療情報にそって、COVID-19疑いのさまざまな症状のいずれかが認められた場合には、早めに「かかりつけ医」などに電話相談して、適切な診療を受けることで、その後の重症化や長期入院を避けることが重要だと思われます。すなわち、発熱前の頭痛、咳(せき)、嗅覚障害(においがしない・かわる)などや、発熱後ののどの痛み、嗄声(声がれ)、食欲がないなど、さらに下痢、吐き気などの消化器症状の順に軽症から中等症となった際に、早期の診断・治療を受けることにより、倦怠感(体がだるい)、錯乱(もうろうとしている)、腹痛(お腹が痛い) などの重症化(間質性肺炎、低酸素血症、全身炎症、免疫暴走など)しないようにすべきです。
「かかりつけ医」がいないなどでお困りの方は、当院の診療時間内の午前または午後の最後30分は、さまざまな特別個別診療しながら、いろいろな電話相談の時間としていますので、どうぞご利用ください。
関連する医療情報の要旨:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)には、特定の症状クラスターにより明確に区別できる、6つの“タイプ”があるとする研究結果が、英キングス・カレッジ・ロンドン(KCL)のClaire Steves氏らにより報告された。それぞれのタイプは、重症度や、入院中の呼吸の補助の必要度も異なることも明らかになったという。
6つの症状クラスターを重症度の低い順から並べると、以下の通りになる。
1)発熱を伴わないインフルエンザ様症状:頭痛、嗅覚障害、筋肉痛、咳、喉の痛み、胸痛、発熱なし。
2)発熱を伴うインフルエンザ様症状:頭痛、嗅覚障害、咳、喉の痛み、嗄声、発熱、食欲不振。
3)消化器症状を伴う症状:頭痛、嗅覚障害、食欲不振、下痢、喉の痛み、胸痛、咳なし。
4)重症度1(倦怠感):頭痛、嗅覚障害、咳、発熱、嗄声、胸痛、倦怠感。
5)重症度2(錯乱):頭痛、嗅覚障害、食欲不振、咳、発熱、嗄声、喉の痛み、胸痛、倦怠感、錯乱、筋肉痛。
6)重症度3(腹部・消化器症状):頭痛、嗅覚障害、食欲不振、咳、発熱、嗄声、喉の痛み、胸痛、倦怠感、錯乱、筋肉痛、息切れ、下痢、腹痛。
次に、特定の症状クラスターが出現している患者での、呼吸の補助の必要性が検討された。その結果、換気または酸素供給による呼吸の補助を必要とした患者の割合は、症状クラスター1~6の順に、1.5%、4.4%、3.7%、8.6%、9.9%、19.8%であることが明らかになった。また、最終的に入院が必要となった患者の割合は、クラスター1で16.0%であったのに対し、クラスター6では45.5%に上ることも明らかになった。