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下肢の諸症状と末梢循環障害

[2019.12.26]

下肢の諸症状と末梢循環障害

これからの寒い時期には、誰でも外出中などに手足が冷たくなることはよくありますが、通常は屋内に入って温まったり、手袋や厚手の靴下などの使用により、様々な症状は軽減または消失します。このような症状は、寒い状態では手足の血液の流れが悪くなり、温まることでその部分の血液流れが元に戻ることで起こっています。ただし普段から手足の血液の流れが悪くなっている人では、温めても症状が残る場合や、寒くない時や何もしなくても手足のしびれ、痛み、むくみなどの症状が続くことがあります。医学的にはこのような状態を末梢循環障害と言います。

通常の末梢循環障害は、大動脈炎症候群など特別な疾患以外では、上肢(腕の付け根から手の指先)よりも下肢(太ももから足の指先)の症状が強く現れます。これは下肢の方が大きくて多くの動脈血流を必要とすることや、平らに横たわっている場合以外は下肢は心臓よりも低い位置にあり重力の影響で静脈血流が少なくなりやすいことなどが関係していると思われます。

さらに酸素や栄養を全身に届ける動脈と、全身で発生した二酸化炭素や老廃物を持ち帰る静脈以外に、全身の細胞(約60兆個)のまわりを巡っている組織液や免疫細胞などが集まってできるリンパ液は全身のリンパ管をゆっくり流れながら胸管や静脈角から心臓の近くの静脈血の方へ混ざりこんでいます。このリンパの流れが悪くなるのも、腹部・骨盤内手術後や妊娠・出産後などに起こりやすく、上肢より下肢でより悪くなることが多いです。

以上のように、下肢の諸症状(足のしびれ、痛み、むくみなど)は、動脈(動脈硬化による狭窄・閉塞や動脈瘤など)、静脈(静脈瘤や静脈内血栓など)、リンパ(外傷・手術後やリンパ浮腫など)のいずれかの病変あるいは複数の病態が原因で起こります。

末梢循環障害の診断は、初期の症状が軽度の場合でも循環器専門医が行う丁寧な問診(体質・家族歴や既往歴・手術歴などを含めて時間的経過をおって話をよく聞くこと)でほぼ予測されます。末梢循環障害が疑われた場合は生活習慣の改善指導を勧めつつ、動脈疾患では視触診や聴診による血管雑音などに加えて、両側の上肢・下肢の動脈硬化や血流を測定する特別なABI検査末梢動脈エコーなどにより診断可能です。静脈疾患では視触診に加えて静脈エコーにより診断されます。リンパ疾患は上記の動静脈疾患だけでは説明できない症状をもとに、主に視触診と問診から診断されます。

末梢循環障害の治療は、初期や軽度の場合は生活習慣の改善指導に加えて、各種の血管拡張薬、抗血小板薬、抗凝血薬、利尿剤など薬物治療医療用ストッキング療法などが行われます。それでも中等度以上の症状が継続・増悪する場合や心不全を伴う場合には、各種の心臓血管外科治療が必要となります。

当院では、いずれの末梢循環障害も外来の非侵襲的検査で診断が可能で、同時に生活習慣の改善指導に加えて薬物治療を行っています。さらに外科的治療が必要な場合は院長が登録医となっている特定の関連病院で、最適な時期に最良の心臓血管外科治療を受けることができ、その術後の綿密な外科的管理も院長自身が責任もって行います。

いろいろな循環器疾患に関するご相談やその診療に関するご要望は、いつでも診療時間内にお電話でご連絡していただければ幸いです。どうぞよろしくお願い申し上げます。

キタ・クリニック院長 北村昌也

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