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風邪・発熱やアレルギー、季節などによる心雑音の変動

[2020.01.15]

風邪・発熱やアレルギー、季節などによる心雑音の変動

 以前の院長ブログ「心雑音と感染性心内膜炎の予防」でお話ししたように、丁寧な聴診による心雑音は小さな音でも異常血流があることを示しているため、感染性心内膜炎の予防にはとても大切です。ただし心雑音は同じ人でも、1年中同じ大きさの音(6段階Levine分類)が、同じ(胸部の)位置同じ位相(心臓拍動のタイミング)、同じ性状(音の性質)聴取される(聴診器で聞こえる)わけではありません。

 この投稿では、循環器専門医療35年以上の経験から、小児から成人までの間に多くの人にいろいろな程度で、最もよく聴取されることの多い大動脈弁(左心室出口の弁)周囲の心雑音を例にあげて、可能な限りわかりやすく説明します。

幼児期の心エコーで記載したように、ほぼ正常の小児でも成長期の左心室流出路と上行大動脈基部の軸偏位によるモザイク(血流の乱れ)は認められることも多く、このモザイクは左心室駆出期(血液を押し出すタイミング)の大動脈弁周囲心雑音として聴取され、通常成長とともに軽減します。

 成人では、高血圧症や脂質異常症などの生活習慣病による大動脈基部(最初の部分)の拡大や壁肥厚、さらに大動脈弁自身の硬化(厚くなり固くなること)等により、左心室出口部分の狭窄(狭くなること)や逆流(血液が戻ること)による心エコー上のモザイクが認められ、胸部Erb領域(胸骨左縁第3(~4)肋間)の心雑音として聴取されることが多いです。

 その他、生まれつきの大動脈二尖弁(正常では三尖弁)やMarfan症候群(遺伝子異常による大動脈基部変性)など、様々な原因で大動脈弁周囲の心雑音は聴取されます。

 いずれの原因の心雑音でも、たとえば音の大きさ(Levine分類)だけでも一様ではなく、簡単に言うと、その部分を通る血液の流れる量の変化や、その流れによる通る部分の大きさの変化が合わさり、しかも左心室駆出期の狭窄性心雑音か、左心室拡張期(血液を受け入れるタイミング)逆流性心雑音かによっても変化の仕方が変わります。

 さらに心エコー上のモザイクの程度と心雑音の大きさが、必ずしも正の相関(強さと大きさが正比例していること)を示しているわけではありません。たとえば大動脈基部が大きくなると大動脈弁逆流は多くなり逆流性心雑音は大きくなりますが、モザイク(乱流/カラー心エコー上の橙、黄、緑など)の程度は小さくなり逆流面積(漏れの大きさ、層流/カラー心エコー上の主に赤)が大きくなります。

 以上のような心雑音の変動(音の大きさなどの変化)をもたらす要因として、実際の診療でよく認められるものをあげると、まず風邪や発熱、インフルエンザなどの際に全身の血流が増加することにより、大動脈基部の拡大と血流速度の増加により普段より心雑音が大きくなります。次に末梢循環が低下したり血圧が高くなりやすいは、左心室流出路(大動脈弁下部周辺)が閉まりやすく、駆出性心雑音が大きくなりやすいです。反対に末梢循環を含めて血流が増加しやすいは大動脈基部も拡大することが多く、逆流性心雑音が大きくなりやすいです。最後に通常は心雑音が小さくなる春秋には、花粉症、蕁麻疹、喘息などが原因でアレルギー性血管炎を起こして、心雑音が大きくなる人もいます。

 当院では、弁膜症手術を含めて心臓血管外科治療を20年以上行っていた院長が、開業後15年間の一般診療中の丁寧な聴診により経験した多彩で豊富な心雑音の変動をもとに、一人一人の患者さんに最適な循環器専門医療を継続することにより、生涯循環器救急医療を要しない外来通院を目指しています。

 いろいろな心臓血管系の興味や疑問などについては、診療時間内にいつでも電話にてご連絡・相談いただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

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