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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関連して現在分かっていることと一人一人ができる対策:第一報告(COVID-19にかからない方法)

[2020.05.20]

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関連して現在分かっていることと一人一人ができる対策:第一報告

 日頃の診療や電話相談中にほぼ毎日患者さんから受けるCOVID-19関連の質問に沿って、皆さんに正確にお伝えしたい情報について、最前線の臨床医の一人として、今後しばらく院長ブログのシリーズでお伝えしたいと思います。

質問1:どうしたら新型コロナウイルス感染症にかからずにすみますか?

解答の1例:以下のような医療情報に基づいて、できるだけ3密を避けて、どうしても1密2密になる時は、自分も相手もマスクするダブルマスクのもと(視力の良い人も伊達メガネ着用)で、会話などの面会時間をできれば15分以下、長くても30分以内とすることです(以上の条件下では通常濃厚接触とは判定されません)。さらにお腹の調子の良い時に会うようにして、15分毎に1~2口の水分を個々人のボトルから飲み込み、胃酸内で殺菌することも有効です。

関連する医療情報の要旨:

 ウイルスや細菌などの病原微生物は、何らかの形で私たちの体内に侵入して病気を起こします。その中で今回の新型コロナウイルスは、主に私たちが呼吸する時に吸い込むことで呼吸器に感染します(経気道感染)。経気道感染は、麻しん(はしか)、結核や水痘(みずぼうそう)のような「空気感染」と、インフルエンザやおたふく風邪などの「飛沫(ひまつ)感染」とに分けられます。飛沫感染の「飛沫」は、“しぶき”とも読み、咳、くしゃみ、会話によって飛散する唾液を指しています。医学的には、「水分を含んだ直径5マイクロメートル(μm)以上の粒子」であり、目に見えるほどの唾液であれば重さですぐに落下しますが、小さくなればなるほど空中を漂い(マイクロ飛沫:10μm以下)、別のヒトが吸い込む確率が高くなります。吸い込める距離は通常1〜2メートルほどですが、くしゃみのように勢いよく飛び出た場合には10メートルを越す場合もあります。これが、風邪やインフルエンザなど何らかの呼吸器感染をしているヒトの飛沫の場合、飛沫の中に病原体が含まれることになります。ウイルスは 0.1 μm 前後であるため数十個〜数百個以上含まれており、吸い込んだヒトの感染リスクが高まります。マスクをしたりハンカチや袖でくしゃみを抑えるなど、「咳エチケット」は感染拡大予防にとても重要です。

 飛沫が乾燥して小さくなったり、もともと5μm以下の粒子を「飛沫核」と呼びます。飛沫感染する病原体は、大きければ落下し、小さければすぐに乾燥して感染リスクが低減します。ところが、麻しんウイルス、結核菌、水痘ウイルスは、飛沫核となっても感染性を失わず、飛沫核は軽いために空気中を漂い、広範囲に感染を拡げます。これが空気感染の一つです。電車や飛行機のような狭い空間において、飛沫感染は感染者の半径2メートル程度の乗客が高い感染リスクであるのに対して、空気感染では同乗者全員が高い感染リスクを背負うことになるのです。

 厚生労働省より、感染経路としてはっきり認められてはいませんが、クラスター(小規模な集団感染発生)の大きな原因とも言われはじめたのが、エアロゾル感染(マイクロ飛沫感染)です。これは飛沫感染の一種ですが、一般的に考えられている飛沫感染、接触感染とは異なり、まだ明確な定義がありません。(また、空気感染とは原理が異なります)。エアロゾルは、空気中に浮遊する、直径が0.001μmから100μmの粒子(日本エアロゾル学会)と定義されます。いっぽう一般的に考えられている飛沫感染の飛沫とは、日本では、直径5μm以上の大きさのものと定義されており、ツバも5μm以上の大きさを想定しています。この大きさであれば、中の水分の重みで、口から出てすぐに1~2mの距離以内に落ちていくので、人との距離を1~2m空けることによって、感染予防できます。この意味で、話題の用語であるソーシャルディスタンスをとることが有効になります。また、咳やくしゃみをする際にマスクなどで口元を覆うこと(咳エチケット)によっても、予防できます。
 しかし、今回の新型コロナウィルスは、これよりさらに小さい、5μm以下のエアロゾル中にも存在する可能性が指摘されています。ことに2~3μm以下のエアロゾルは、軽いためにすぐには地面に落下せず、しばらくの間、空気中を漂い続けます。通常は、このような微小なエアロゾルはすぐに乾燥するので、ウィルスは長く感染力を保てないと考えられています。ただし、人が密集し、湿気が籠って、風通しの悪いような環境(3密状態)では、ウィルス が存在するエアロゾルが水分を保ったまま、長時間、空気中を漂い続けることもありえます。この粒子を、鼻や口から吸いこむことにより感染が起きる可能性があり、これがエアロゾル感染(マイクロ飛沫感染)と呼ばれています。

 このエアロゾル感染を予防するには、何と言っても「密閉・密集・密接」の3つの密を避けることがポイントになります。咳エチケットのマスク着用のみでは、エアロゾルの直径が小さく、マスクの繊維の目をすり抜けていく可能性も高いため、3密を避けることが何よりも大切なのです。

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