新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関連して現在分かっていることと一人一人ができる対策：第六報告(COVID-19の感染経路)

　日頃の診療や電話相談中にほぼ毎日患者さんから受けるCOVID-19関連の質問に沿って、皆さんに正確にお伝えしたい情報について、最前線の臨床医の一人として、今後しばらく院長ブログのシリーズでお伝えしたいと思います。

質問６： 最近日本では、東京を中心として新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の市中感染が拡大しつつありますが、ある程度の経済活動を保ちつつこれ以上流行を拡げないために、個々人が現在できることには何がありますか？

解答の１例： このシリーズの第一報告で述べたように、いわゆる３密を避けることなど、COVID-19にかからないための対策は、これからの「With コロナ」時代はずっと続けるべきです。ただし第一流行期のようにすべての接触を避ける(外出自粛する)ことなく、一般的な日常生活を保つためには、以下のようなより綿密な対策により、できる限り自分自身が感染しないことや、もし感染しても誰にもうつさないで治すことがとても大切です。

　現在認められているCOVID-19の感染経路には、「接触感染」「飛沫感染」「エアロゾル(マイクロ飛沫)感染」の３つがあります。それぞれについて、現在私自身が行っている日常生活に沿って、できるだけ具体的に個々の対策を示したいと思います。

　「接触感染」の予防には、電源スイッチやドアノブなどの多くの人が触る場所のアルコール消毒等がすすめられていますが、重要なのは手や顔などの皮膚(傷などがなければ体内侵入しない)に付いたウイルスを、粘膜(目や泌尿器など)や気道(鼻や口など)を通じて体内に入る前に洗い流すことです。私自身は外科医であることもあり、もともと手洗いはよくする方でしたが、COVID-19流行以降は、目や鼻の周りなどを触るのは必ず手洗いをした時に限っています。つまり、いつでも両手にはウイルスなどが付いているものとして、こまめな手洗いやアルコール消毒等を繰り返しながら日常生活をしています。

　「飛沫感染」の予防には、２メートル以内に人には近づかない、いわゆるソーシャルディスタンスを保つことがすすめられています。しかしながら、家族を含めてすべての人に近づかないで日常生活はできません。そこで対面接近する時は誰とでもダブルマスクをして１５分以内のできるだけ短時間としています。あと食事などでマスクを外している時は、横並びでできるだけ距離をとって、会話は少なく小さな声で話しています。

　「エアロゾル(マイクロ飛沫)感染」の予防には、一般的に３密を避けることがすすめられています。ただし現在のような状況では、私自身は３密とも避けることがとても重要だと思っています。すなわち複数の人々が一緒の時は、２方向以上の常時開放換気されていない密閉された場所には滞在しないで、お互いの距離をできるだけとって密集しないで、特に対面接近して話をするなどの密接を避けることとし、すべてを同時に守るようにしています。

　最後に、以上のようにしていても偶発的にCOVID-19にかかることはあると思いますが、PCR検査などはその精度から結果が２～３割陰性となることがあります。したがって、COVID-19の流行をできるだけ拡大させないためには、私自身の意見として、すべての人々がCOVID-19かかった時にできるだけ重症化しないために、日頃から個々人の年代や体質などに合わせてCOVID-19に対する総合的な抵抗力を可能な限り高めておき、職場や家庭などを含めて常に他の人にうつさない日常生活を続けながら、自分自身の中でCOVID-19を治してしまうことが最も大切であると思います。

　COVID-19に関連してご自身の免疫力や体質などに気になることがある方は、いつでも当院の診療時間内に電話で相談していただければ幸いです。