新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関連して現在分かっていることと一人一人ができる対策：第八報告

　日頃の診療や電話相談中にほぼ毎日患者さんから受けるCOVID-19関連の質問に沿って、皆さんに正確にお伝えしたい情報について、最前線の臨床医の一人として、今後しばらく院長ブログのシリーズでお伝えしたいと思います。

質問８ ： 最近大阪から報告されたポビドンヨード（イソジン）うがい液（医療用 ポビドンヨード　ガーグル液７％ 30ml）の臨床研究について、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の市中感染の拡大防止に関連して、現時点で個々人が利用できることには何がありますか？

解答の１例 ： 一般的に保険診療で臨床医は、他の医療用薬剤と同様に、以下のような厚生労働省「日本薬局方」の効能・効果等に沿って、ポビドンヨード　ガーグルを感染性扁桃咽頭炎などの患者さんに対して、外用薬として処方しています。多くの場合は、急性上気道炎に対する解熱鎮痛薬カロナール（単独アセトアミノフェン）などの内服薬を同時処方しています。すなわち現在の日本のようにCOVID-19市中感染が拡大している状況では、さまざまな疑い症状がある方は、電話確認の上で近隣の診療所の受診やオンライン診療により処方箋を発行してもらい、診療担当医師の指示に従って安全にポビドンヨード　ガーグルを、症状が治まるまで３～５日間毎日数回の医療用うがいを続けることは、ウイルスや細菌などの病原性微生物の口腔咽頭内増殖を抑えることにより、患者本人の早期回復と他の人への感染伝播の防止に役立つと思われます。ただしのどの痛みなどの症状が全くない人々が使用すると、健常な口腔咽頭内の常在細菌叢を障害することなどにより、かえって通常の感染抵抗力を損なうことになるため、おすすめしません。少しでも症状が出た時にすぐ使いたいなど、どうしても手元に持っておきたい方は、薬剤師さん在中の薬局で、使用上の注意を十分に確認した上で、必ずヨード入りの方のイソジンうがい液（ポビドンヨード　ガーグル）を最小量のみ購入してください。できるだけ譲り合って購入することにより、多くの人々が使用した方が全体の感染拡大の防止には有効と思われます。

関連する医療情報 ： 組成　ポビドンヨードガーグル液7％は、1mL中に下記の成分を含有する。有効成分　日局ポビドンヨード　70mg(有効ヨウ素として7mg)。　添加物　エタノール、l-メントール、サッカリンナトリウム水和物香料。　性状　ポビドンヨードガーグル液7％は、黒褐色・澄明の液で、特異な芳香がある。　一般的名称　ポビドンヨード含嗽剤。　禁忌　（次の患者には使用しないこと）　本剤又はヨウ素に対し過敏症の既往歴のある患者。　効能又は効果　咽頭炎、扁桃炎、口内炎、抜歯創を含む口腔創傷の感染予防、口腔内の消毒。用法及び用量　用時15〜30倍（２〜４mLを約60mLの水）に希釈し、１日数回含嗽する。使用上の注意　慎重投与（次の患者には慎重に使用すること）甲状腺機能に異常のある患者［血中ヨウ素の調節ができず甲状腺ホルモン関連物質に影響を与えるおそれがある。］副作用等発現状況の概要　本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。重大な副作用（頻度不明）ショック、アナフィラキシー様症状（呼吸困難、不快感、浮腫、潮紅、蕁麻疹等）があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、直ちに使用を中止し、適切な処置を行うこと。その他の副作用　過敏症^注)  (頻度不明):　発疹等、口腔 (頻度不明):　口腔、咽頭の刺激感、口腔粘膜びらん、口中のあれ等、消化器 (頻度不明):　悪心等、その他 (頻度不明):　不快感、注）症状があらわれた場合には、使用を中止すること。適用上の注意　1. 使用部位 含嗽用だけに使用させること。2. 使用時 (1) 用時希釈して使用させること。(2) 抜歯後等の口腔創傷の場合、血餅の形成が阻害されると考えられる時期には、はげしい洗口を避けさせること。(3) 眼に入らないように注意すること。入った場合には、水でよく洗い流すこと。(4) 銀を含有する補綴物等が変色することがある。

　なお、一人一人の日常生活や旅行中のことなどで何か気になることがある方は、当院の診療時間内の午前または午後の最後３０分は、さまざまな特別個別診療しながら、いろいろな電話相談の時間としていますので、どうぞご利用ください。