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幼児期(3~6歳)の心臓エコーによる経過観察の有用性

現在広く知られていますように、日本では少子高齢化が進み、各領域で様々な対策が進められています。その中で当院開院以降15年間で院長自身が行ってきた数千例の心臓血管エコー検査の経験をもとに、幼児期(3~6歳)の心臓エコー検査による経過観察の有用性についてお伝えしたいと思います。

このようなことに気がついたのは、近隣の小児科の先生から心雑音ある患児を紹介していただき、幼児期(3~6歳)の心臓エコーを行う症例が次第に継続的に増えてきたことに基づいています。

現在我が国では、乳幼児健康診査は生後に開始から最終が3歳時で、一方学校心臓検診はその名の通り、小学校入学(6歳)時以降に継続されています。どの機会の健診(検診)でも聴診を含む身体診察が行われていますので、ほとんどの先天心疾患の患児は生後から3歳児までに確定診断され必要な治療(カテーテル治療や外科的手術を含む)を受けています。

それではなぜ幼児期(3~6歳)に心臓エコー検査が必要な心雑音ある患児が紹介されてくるのでしょうか?

これまでの経験から最も多い心臓エコー所見は、成長期の左心室流出路と上行大動脈基部の軸偏位による大動脈弁レベルでのモザイクでした。更にそれに伴い多少の大動脈弁逆流を伴うものがほとんどでした。その他、軽度の肺動脈弁モザイク、僧帽弁の一部逸脱などでした。モザイクとは、正常でスムーズな血液の流れ(層流/カラー心エコー上は赤か青)に対して、狭窄や逆流などにより血液の流れが乱れている状態(乱流/カラー心エコー上は橙、黄、緑など)のことを言い、聴診では心雑音(正常の心臓では聞こえない音)として聞こえます。

したがって、乳幼児期の血流が少ない期間ではとても小さい雑音のため、通常の全身的健康診査では指摘されないことが多いのかもしれません。

以上のような経緯で幼児期(3~6歳)に心臓エコーでモザイク所見が認められた患児に対して、どのような経過観察をしていくことが適切でしょうか?

私は心臓血管外科医だった22年間に、現在でも専門の小児心臓血管外科医が手術を行う新生児・乳児期の(主に複雑な)先天性心疾患以外で、幼児期以降、学童期、思春期から成人期にいたる先天性心疾患の外科的手術を経験していました。その頃に成長期の正常な心臓の発達などについても、その道の権威の先生からの教えを受け、その経過に基づいて各時期の患児に最適な治療を行うことの大切さを学びました。

その結果、幼児期に見つかる特異な心エコー上のモザイクの中に、たとえば年齢とともに是正されることがある左心室ー大動脈基部の軸偏位や小さな心室中隔欠損などがあり、毎年1~2回の心臓エコーによる経過観察が重要と知りました。

この心エコー上のモザイクの程度により、特に本人・家族とともに「かかりつけ医」が留意すべきは、感染性心内膜炎の併発の予防・早期診断・治療と思われます。

感染性心膜炎とは、風邪をこじらせた時(咽頭喉頭炎、扁桃腺炎等)、お腹をこわした時(下痢や腹痛等)、出血を伴う歯科治療、けがをして出血した時などに、各種細菌等が血流に入り全身をめぐります(菌血症)が、その際に小児・成人を問わずモザイクのある心臓内膜部分(心臓弁膜等)にくっつき疣贅(感染巣)をつくる疾患です。早期の発見・診断に基づく適切な抗菌薬治療等が行われない場合には、外科的な根治的手術(感染巣の完全除去)が必要となる可能性があります。

当院では、「かかりつけの小児科医」と連携をとりつつ、本人・家族の希望に沿って、定期的な幼児期(3~6歳)の心臓エコーによる経過観察が可能です。

なお心臓エコー検査の際には、心電図モニターを継続しながら行いますので、必要に応じて様々な不整脈の診断も可能です。

その他、心不全などを含め、いろいろな小児循環器科的な相談等は、当院の診療時間内にいつでもお電話で連絡いただければ幸いです。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

 

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