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大動脈疾患の診断・治療

大動脈全体と主な分枝

大動脈疾患の診断・治療

 大動脈とは、心臓から全身に血液を送っている左心室の出口にある大動脈弁より先の大きな動脈が、枝分かれしながら心臓(冠状動脈)、頭頸部(頭と首)、両上肢(両側の肩や腕)、胸部(胸の壁、食道、脊髄など)や腹部(お腹の中、肝臓、腎臓など)に酸素、栄養などを届けながら、おへその奥辺りで左右の腸骨動脈(骨盤や両下肢に血液供給)に分かれるまでの部分を言います。

 大動脈はいくつかの部分に分けて名付けられ、横隔膜の上を胸部大動脈、横隔膜の下を腹部大動脈、さらに胸部大動脈の頭頸部・両上肢への3本の枝を出している部分をその形から弓部大動脈、その手前心臓を出て頭に向かう部分を上行大動脈、弓部の先の足の方向へ向かう部分を下行大動脈(胸部と腹部に分ける)と呼ばれています。

大動脈疾患とは、上記のいろいろな部分に,、動脈硬化症(高血圧症、脂質異常症、加齢などによる)、炎症、感染症、変性(先天性や原因不明)などにより起こる大動脈の肥厚(壁が厚くなること)、拡大(直径が大きくなること)、解離(壁の中が裂けること)などを言います。

 特にその中で循環器救急医療を必要とすることが多いのは、もともと拡大していた大動脈の部分(各部の大動脈瘤や大動脈基部拡大など)の大動脈切迫破裂大動脈解離です。

診断

 大動脈疾患の診断としては、各種健診・人間ドックの際や、高血圧症、脂質異常症などの生活習慣病の保険診療中に行われる丁寧な問診や身体診察と、各基本検査(心電図,胸部正面X線写真,血液生化学検査,尿検査等)の結果により、必要に応じて循環器専門医を受診して、綿密な心臓・血管エコー検査や特別な胸部側面レントゲン検査などを受けることにより、大動脈の拡大部分やその程度についてはほぼ確定されます。

 たとえば親族に心臓血管疾患の既往があったり、本人に高血圧傾向があれば、丁寧な聴診(心臓・肺・腹部・全身の血管などの音を特別な専用聴診器で聞き取ること)や腹部の拍動性腫瘤の触診(特別に注意して丁寧に触ること)などにより、綿密な心臓・血管エコー検査や特別な胸部側面レントゲン検査などが必要かは明らかとなります。

 続いて行う比較的非侵襲的な心臓・血管エコー検査や特別な胸部側面レントゲン検査などにより、測定した各部位の大動脈直径(壁の厚さを含めた外径)がどのレベルかで正常の1.5倍以上の大きさにまで大きくなっていた場合は、適切な時期を選んで心臓・大動脈MRIまたは同CTにより精査すれば、破裂や解離などを起こす前の大動脈疾患の診断が確定されます。

治療

 以上のような診断の過程がすべての患者さんに行われれば、大動脈疾患の急性増悪(切迫破裂や解離など)を避けることができ、循環器救急医療を必要としない外来通院が可能になると思われます。その上で、各患者さんを薬物治療などで厳密な血圧コントロール等を行いながら、定期的な非侵襲的検査による経過観察を行って、外科的治療が必要な場合にのみ適切な専門の心臓血管センターに紹介することにより、成績が比較的安定している待機的な外科手術(各種人工血管置換術)や特殊な血管内カテーテルによるステントグラフト植え込み術などを受けることができます。

 当院では、院長が上記のような各地の心臓血管センターで手術を行っていた22年間の経験や、その後の開院15年間の循環器専門医関連の学会参加等により得た最新・最良の心臓血管疾患治療の中から、自分自身や親族が同じ疾患の治療を受ける際と同じ施設に責任をもって紹介いたします。大動脈疾患に限らず、様々な心臓血管疾患のいろいろな質問等を診療時間内に随時お電話でご相談いただければ幸いです。

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