新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関連して現在分かっていることと一人一人ができる対策：第十四報告(高リスク群か否かの判断)

　日頃の診療や電話相談中にほぼ毎日患者さんから受けるCOVID-19関連の質問に沿って、皆さんに正確にお伝えしたい情報について、最前線の臨床医の一人として、今後しばらく院長ブログのシリーズでお伝えしたいと思います。

質問14：今年度秋冬のインフルエンザ流行期に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にかかった際に、自分が重症化しやすい高リスク群に入るか否かを個々人で判断できる方法は何かありますか？

解答の１例：今年度国の方からインフルエンザワクチンの早期優先接種をすすめられている高齢者(65歳以上)や持病のある方々、妊産婦などは、COVID-19の高リスク群ですが、一般的に自治体の公費補助のある15歳以下はインフルエンザ脳炎・脳症のリスクは比較的高いものの、COVID-19の高リスク群とはされていません。

　本シリーズの第五報告の中で述べたように、一般的にCOVID-19にかかると重症化しやすいとされている年齢が50歳以上の方や生活習慣病などの持病がある方、その他の比較的若い世代で持病のない方々でも、中には重症化する場合があります。暴飲暴食や夜更かし、喫煙、過重労働、過剰なストレス、不眠症などの不規則な生活習慣や、高度の肥満や極端なダイエット・偏食などの栄養バランス不良などは、自己免疫力や抵抗力の低下を招きます。あとは遺伝的な要因や体質により、末梢循環不全(手足などの細い血管の流れが十分でない状態)、血栓形成傾向(血液が正常より固まりやすい状態)、呼吸機能低下(息をする余力が少ない状態)などがあると、普段症状がなくてもCOVID-19にかかった際に、より重症化しやすい高リスク群となります。

　以上のことを個々人で判断するのに役立つ情報として、40歳以上の方は毎年受けている特定健診や人間ドックなどの結果を、白血球数、心電図や胸部X線写真などを含めて保健指導の対象となるかだけではなく、日本内科学会等が報告(日本内科学会雑誌104巻4号824-860頁)している脳心血管病予防に関する包括的リスク管理チャート等に沿って、発症ハザード比（表２）1.2以上で有意差ある場合は、COVID-19ウイルス(SARS-CoV-2)が血管内皮細胞に侵入・増殖したり、血栓形成傾向を悪化させることから、COVID-19の高リスク群と判断されます。

　COVID-19の高リスク群に入る方々は、日頃から「かかりつけ医」を決めておかないと、万が一今年度秋冬のインフルエンザ流行期に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にかかった際に、特別オンライン診療の初診のみでは直接の身体診察などはないために日頃の状態との違いは把握できず、診療の遅れから重症化する可能性が高くなると思われます。

　「かかりつけ医」がいないなどでお困りの方は、当院の診療時間内の午前または午後の最後３０分は、さまざまな特別個別診療しながら、いろいろな電話相談の時間としていますので、どうぞご利用ください。