新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関連して現在分かっていることと一人一人ができる対策:第二十四報告(アレルギー性疾患診療との併用)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関連して現在分かっていることと一人一人ができる対策:第二十四報告(アレルギー性疾患診療との併用)
日頃の診療中や電話相談中にほぼ毎日患者さんから受けるCOVID-19関連の質問に沿って、皆さんに正確にお伝えしたい情報について、最前線の臨床医の一人として、今後しばらく院長ブログのシリーズでお伝えしたいと思います。
質問24 : 今年はスギ花粉の飛散が昨年の倍近くになると言われていますが、花粉症などのアレルギー性疾患のある場合、COVID-19対策と合わせて注意すべきことには何がありますか?
解答の1例:花粉症については、COVID-19予防で行っているマスク着用を適切に行っていても症状が強い場合には、各種内服薬や点眼薬などの薬物治療が必要です。特に治療薬の内服継続していても鼻汁、鼻閉(鼻づまり)がひどい場合は点鼻薬の併用などにより症状を軽快しておかないと、COVID-19による嗅覚障害の早期発見が遅れ、新型コロナ後遺症として長期に嗅覚障害が残るリスクが高くなります。その他、アレルギー性咳嗽や気管支喘息、アトピー性皮膚炎や蕁麻疹などについても日頃から綿密な診療を受けていないと、COVID-19にかかった際により重症化しやすくなると思われます。さらに特に症状がなくても、特別な血液生化学検査により非特異的または特異的アレルギー抗体価が高い場合、アレルギー性血管炎や血栓形成傾向などにより潜在的な末梢循環不全を引き起こしていることもあり、継続的な体質改善に加えてCOVID-19流行中は一時的な薬物補助が望まれます。
なお、以下のような医療情報をよく理解した上で、特に花粉症などのアレルギー性疾患の診療を受けている方々は、新型コロナワクチン接種を受ける場合に、ワクチン接種部分の痛み・発赤や腫れ、短期間の発熱などの軽度の副反応はワクチンによる重症化防止・感染発症予防を考慮して受け入れながら、重篤な副反応であるアナフィラキシーなどをできるだけ避けるように、日頃から「かかりつけ医」と相談しながら、個々人の状態に合わせて安全で具体的なワクチン接種の方法や接種場所の予定を確認しておくことはとても重要です。
「かかりつけ医」がいないなどでお困りの方は、当院の診療時間内の午前または午後の最後30分は、さまざまな特別個別診療しながら、いろいろな電話相談の時間としていますので、どうぞご利用ください。
関連する医療情報:アナフィラキシーとは、アレルゲン等の侵入により、複数臓器にアレルギー反応が惹起され、生命に危機を与え得る過敏反応である。
アナフィラキシー+血圧低下や意識障害=アナフィラキシーショック
(アナフィラキシーガイドライン 日本アレルギー学会)
#ワクチンに対するアナフィラキシー
接種液の成分によってアナフィラキシーを呈したことが明らかにある者は接種不適当者である。気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、じんましん、アレルギー体質などだけでは、接種不適当者にはならない。接種後に全身性発疹などのアレルギーを疑う症状を呈したことがある者、接種液の成分に対してアレルギーを呈するおそれがある者が接種要注意者となる。
(予防接種ガイドライン等検討委員会: 予防接種ガイドライン2019年度版)
#どのような人に起こりやすいのか
他の医薬品での副作用 アレルギー反応の既往 アレルギー歴 ・食物(卵, 牛乳など) ・喘息 ・アレルギー性鼻炎 ・アトピー性皮膚炎など(J Allergy Clin Immunol 2010;125:1098, Ann Allegy Asthma Immunol 2010;104:371)