新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関連して現在分かっていることと一人一人ができる対策:第十五報告(検査方法の時期と精度)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関連して現在分かっていることと一人一人ができる対策:第十五報告(検査方法の時期と精度)
日頃の診療や電話相談中にほぼ毎日患者さんから受けるCOVID-19関連の質問に沿って、皆さんに正確にお伝えしたい情報について、最前線の臨床医の一人として、今後しばらく院長ブログのシリーズでお伝えしたいと思います。
質問15:今年度秋冬のインフルエンザ流行期に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を疑う症状が現れた際に、両方の検査と診療を適切に受けるのに個々人が注意すべきことには何がありますか?
解答の1例:これまで一般的な季節性インフルエンザ迅速検査(鼻咽頭スワブ採取によるA型・B型抗原定性検査)は、症状が現れてから12~48時間に受けることにより、90%近い精度と特定薬剤の有効期間内投与を確保していました。ただし今年度は検体採取時に新型コロナウイルスが飛散するリスクから、PCR検査センターなどの防護服着用施設でしか行えなくなりました。一方、COVID-19のPCR検査は限られた施設でしか行われず、結果がわかるまで時間がかかり、しかもその精度はせいぜい7~8割程度(発症2日前~発症7日後)との報告が多いです。
この状況の中で、今年度秋冬のインフルエンザ流行期に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を疑う症状が現れた際には、早期に「かかりつけ医」または特別オンライン診療を受診して、必要に応じて漢方薬を含めた抗インフルエンザ薬や解熱鎮痛剤などの処方を受けつつ、COVID-19とインフルエンザ両方の高精度検査をできるだけ早く受けることが大切です。ただし両方の検査とも偽陰性のことがありますし、続けてまたは同時に両方にかかる可能性もありますので、検査結果によらず症状が現れてから少なくとも10日間は自宅療養すべきと思われます。
なお、最近注目されている唾液採取によるCOVID-19検査は、検体採取時の飛沫は避けられることと、PCR検査では搬送を含めて時間がかかるのは同じですが、抗原定性迅速検査はその精度がかなり低くなるものの短時間で結果がわかり、陽性の場合にPCR検査を省略しすぐに宿泊療養に入ることができる利点があります。
「かかりつけ医」がいないなどでお困りの方は、当院の診療時間内の午前または午後の最後30分は、さまざまな特別個別診療しながら、いろいろな電話相談の時間としていますので、どうぞご利用ください。