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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関連して現在分かっていることと一人一人ができる対策:第十二報告(インフルエンザワクチン接種しない場合の対応)

[2020.09.10]

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関連して現在分かっていることと一人一人ができる対策:第十二報告(インフルエンザワクチン接種しない場合の対応)

 日頃の診療や電話相談中にほぼ毎日患者さんから受けるCOVID-19関連の質問に沿って、皆さんに正確にお伝えしたい情報について、最前線の臨床医の一人として、今後しばらく院長ブログのシリーズでお伝えしたいと思います。

質問12:今年度国内生産予定のインフルエンザワクチンが国民の約半分に一回ずつ接種する量(6356万人分)しかないため、接種できない約半分の方については、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との両疾患への具体的な対策として、現時点ではどんなことが考えられますか?

解答の1例:例年のインフルエンザワクチン接種が、ほとんどの自治体で自己負担の任意となっている持病のない16~64歳の方のうち、COVID-19にかかると比較的重症化しやすいとされている50~64歳の方と、様々な事情で毎年インフルエンザワクチンを接種していた方は、厚生労働省が本年10月中に優先接種をすすめる高齢者、小児、妊産婦などの後で、11月以降に接種できるように、各施設の今年度割り当て枠がほぼ確定する9月下旬から「かかりつけ医療機関」または近隣の診療所・病院等に相談・予約するなどすべきと思われます。

 その上で両疾患ともに重症化リスクが比較的少なくほぼ健康な16~49歳の方は、以下のような医療情報にそって、今年度の秋冬季にインフルエンザワクチンを接種しないことで、かかった場合に典型的な症状が現れる利点を生かして、少しでも症状があれば新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と両方の可能性を考えて、できるだけ早く「かかりつけ医」または特別オンライン診療を受診し、必要に応じて漢方薬を含めた抗インフルエンザ薬や解熱鎮痛剤などの処方を受けつつ、COVID-19とインフルエンザ両方の検査を早期に受けることが大切です。ただし両方の検査とも偽陰性のことがありますし、続けてまたは同時に両方にかかる可能性もありますので、検査結果によらず症状がでてから少なくとも10日間は自宅療養すべきと思われます。

 「かかりつけ医」がいないなどでお困りの方は、当院の診療時間内の午前または午後の最後30分は、さまざまな特別個別診療しながら、いろいろな電話相談の時間としていますので、どうぞご利用ください。

関連する医療情報の要旨:

 季節性インフルエンザの典型的な臨床症状としては、A型またはB型インフルエンザウイルスの感染を受けてから1~2日程度の潜伏期間の後に、発熱(通常38℃以上の高熱)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などが突然現われ、咳、鼻汁などの上気道炎症状がこれに続き、約1週間の経過で軽快するのが通常で、いわゆる「かぜ」に比べて全身症状が強いのが特徴です。とくに、高齢者や、年齢を問わず呼吸器、循環器、腎臓に慢性疾患を持つ患者、糖尿病などの代謝疾患、免疫機能が低下している患者では、原疾患の増悪とともに、呼吸器に二次的な細菌感染症を起こしやすくなることが知られており、入院や死亡の危険が増加します。小児では中耳炎の合併、熱性痙攣や気管支喘息を誘発することもあります。
 近年、幼児を中心とした小児において、急激に悪化する急性脳症が増加することが明らかとなっています。厚生労働省「インフルエンザ脳炎・脳症の臨床疫学的研究班」(班長:岡山大学医学部森島恒雄教授)で行った調査によると、毎年50~200人のインフルエンザ脳症患者が報告されており、その約10~30%が死亡しています。臨床経過や病理所見からは、ライ症候群とは区別される疾患と考えられますが、原因は不明で、現在も詳細な調査が続けられています。

 人に感染するインフルエンザウイルスは主にA型とB型で、例年A型は12~3月頃に流行し、後を追うように2月頃から春先にかけてB型が流行することが多いとされています。 

 インフルエンザA型でも基本的には先に挙げた症状が現れ、型による症状の違いはほとんどないとされています。また、B型は「熱が出にくい」「下痢・嘔吐がある」「腹痛がある」などと言われていますが、明確な根拠はありません。風邪の場合は症状が徐々に現れる場合が多いですが、型に限らずインフルエンザでは急激に症状が現れるのが特徴です。また、A型でもB型でも合併症を発症することがあります。

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