新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関連して現在分かっていることと一人一人ができる対策：第十九報告(新型コロナ後遺症の予防対策)

　日頃の診療や電話相談中にほぼ毎日患者さんから受けるCOVID-19関連の質問に沿って、皆さんに正確にお伝えしたい情報について、最前線の臨床医の一人として、今後しばらく院長ブログのシリーズでお伝えしたいと思います。

質問19 : 最近注目されている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)からの回復後に認められる後遺症(新型コロナ後遺症)に関連して、現時点でどんなことが分かっていて何か予防対策はありますか？

解答の１例：最近新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第三波とされる急速な感染拡大が続いていますが、重症化しやすいのは高齢者や持病のある方である一方で、比較的若年成人(20代や30代)に多く認められる新型コロナ後遺症が急増しており注目されています。その原因として、若年層の方が免疫力や抵抗力が強いためにCOVID-19から回復する割合が多いことに加えて、一般的に高齢者に多い悪性腫瘍(がん)や加齢性循環器疾患(心筋梗塞や脳卒中などの動脈硬化症)と比べて、原因不明のものを含めて炎症性疾患は若年層に多いことが関係している可能性が指摘されています。さらに新型コロナ後遺症が男性と比較して女性に多く認められることも一般的な炎症性疾患と同様です。

　当院では今年のCOVID-19流行以降、この院長ブログのシリーズ第五報告で示したような個別のCOVID-19対策管理を継続しており、これまでかかりつけ患者さん達や当院スタッフの中でPCR検査陽性者は一人もいませんでした。しかしながら、他院でPCR検査結果陽性のために入院や経過観察を続けて回復した後の患者さんの中で、新型コロナ後遺症の一部としての炎症性循環器症状(手足のしびれ、胸の痛み、不整脈など)を訴えて当院を受診して、その後の診療(持続的炎症のコントロールを含む)と合わせて個別のCOVID-19対策管理を継続することで、症状の軽快や再燃防止されている方々が次第に増加しています。

　これまでの当院での経験から以下のようなグループは新型コロナ後遺症に関してもハイリスクであると思われます。比較的若い世代で持病のない方々でも、中にはCOVID-19が重症化する場合があります。暴飲暴食や夜更かし、喫煙、過重労働、過剰なストレス、不眠症などの不規則な生活習慣や、高度の肥満や極端なダイエット・偏食などの栄養バランス不良などは、自己免疫力や抵抗力の低下を招きます。あとは遺伝的な要因や体質により、末梢循環不全(手足などの細い血管の流れが十分でない状態)、血栓形成傾向(血液が正常より固まりやすい状態)、呼吸機能低下(息をする余力が少ない状態)などがあると、普段症状がなくてもCOVID-19にかかった際に、より重症化しやすいハイリスクグループとなります。

　「かかりつけ医」がいないなどでお困りの方は、当院の診療時間内の午前または午後の最後３０分は、さまざまな特別個別診療しながら、いろいろな電話相談の時間としていますので、どうぞご利用ください。